自然エネルギー活用住宅ってなに?

人工ではなく、自然の力で快適な住み心地をつくり出す

エアコンやヒーターなどがつくり出す人工的な環境の中で、1年の大半を暮らしている私たち。でも、できれば資源の無駄遣いをやめて、自然の風や太陽のぬくもりを感じて生きていきたい。多くの人がそんな思いを抱いているのではないでしょうか?

「自然エネルギー活用住宅」は、そんな思いをかたちにするために生まれました。従来の省エネ住宅が、省エネと言いながらもエアコン等を使うことを前提にしているのに対し、自然エネルギー活用住宅はエアコンを使わないことを前提にしているところに大きな特徴があります。「え?エアコンを使わないって、どういうこと?」「そんなことできるの?」

そんなみなさんの疑問に、わかりやすくお答えしていきましょう。

太陽、風、大地のエネルギーを使った住宅

そもそも“自然エネルギー”とは、どのようなものなのでしょうか。「太陽熱」、「風」、「地熱」。自然エネルギー活用住宅では主にこの3つが使われています。

「太陽熱」は、冬を暖かく過ごすため、「風」は、夏を爽やかに過ごすため、「地熱」は、1年を通じて気持ち良く過ごすための重要な要素。3つの要素をいかに有効に活用するかが、住宅づくりの大きなポイントになります。自然エネルギー活用住宅は、1980年代から地道な研究を積み重ね、すでに多くの人によってその“自然な気持ち良さ”が評価されてきました。

では「太陽熱」「風」「地熱」を有効利用した自然エネルギー活用住宅とは、どのような建物なのでしょうか。簡単にご説明しましょう。

自然エネルギー活用住宅の仕組み

自然エネルギー活用住宅には、大きく言って次の3つのポイントがあります。

外張り断熱

1つ目のポイントは、建物をすっぽり覆う『外張り断熱』であることです。このことによって家が厚いコートを着ているような状態になり、冷たい外気温から家を守るとともに、窓からの暖かい陽射しで室内も暖まりやすくなります。また、屋根、壁だけの外張り断熱ではなく、基礎にも断熱する『基礎断熱』であることです。これにより床下付近は、井戸水と同じように、外気温よりも冬には温かく、夏にはヒンヤリとした地熱の影響を受けて、室内の温度変化を穏やかにします。コートの中に、冬にはほのかに暖かいカイロを、夏には保冷剤を忍ばせているイメージです。

通気層

2つ目のポイントは、外側の断熱材と部屋の壁との間に、空気を通す『通気層』が設けられていることです。自然エネルギー活用住宅は、この通気層を通して、夏は床下からヒンヤリとした風を入れ、壁や小屋裏のなかにこもった熱を外へと追い出し、家の骨組みや基礎を爽やかに保ちます。

夏と冬で通気層を開閉

3つ目のポイントは、それらの通気層を夏と冬で開閉するモードを備えているということです。夏は床下と屋根の換気口を開き、床下の空気を小屋裏へと導いて熱気を外へ追い出し、冬はそれぞれの換気口を閉じることで、温かな空気で家を包み込むことができます。

つまり「自然エネルギー活用住宅」とは、ひと口に言えば、家が季節に応じてコートを着たり脱いだりしている、と考えていただくとわかりやすいかもしれません。≪建物を断熱材で外からすっぽり覆うことで冬の寒さを防ぎ、夏は反対に通気口を開けて外からの風を入れ、内部の熱をとる仕組み≫ということになります。

素朴な疑問Q&A

「自然エネルギー活用住宅」について簡単にご説明しましたが、みなさんはまだ十分納得できない部分がおありかもしれません。そこで、一般の方からよく寄せられる質問をもとに、Q&A方式でお答えしていきたいと思います。

今や家づくりでは断熱が当たり前だと思うのですが、一般的な高断熱・高気密住宅とどこが違うのですか?
「自然エネルギー活用住宅」は、冬モードと夏モードの切り替えができる家。

「自然エネルギー活用住宅」は、冬モードと夏モードの切り替えができる家。自然エネルギーを取り込みやすくすることによって、エアコンやヒーターに頼り過ぎない暮らしを可能としています。そこが一般的な高断熱・高気密住宅とは大きく異なる点です。

冬も夏もある日本では、冬に適した家と、夏に適した家の2種類が必要で、それを一つにできるのが「自然エネルギー活用住宅」です。

現在、断熱に関してはどの住宅メーカーもそれぞれに工夫をしており、断熱材も工法も様々なものが出回っていますね。ただ断熱に関する研究は、ドイツや北海道などで、“寒さを防ぐ”ことを主な目的として生まれたことをご存知でしょうか。

断熱性能を高めた家は、熱を逃がしにくいので冬場は確かに暖かいのですが、反対に夏の高温多湿な時期にも熱や湿気を逃がすことができません。ドイツや北海道は夏でも湿気が低いため、さほど問題にはなりませんが、日本列島はほとんどが高温多湿地帯。そのため夏はエアコンに頼らざるを得ないというのが、一般的な高断熱・高気密住宅の現状です。

つまり「高断熱・高気密住宅は、冬だけを主眼にした建物」です。

高気密・高断熱住宅
夏にエアコンを使わないって言うけど、本当に本当?
個人差があるので断言はできませんが、ほどほどに涼しい家は実現できます。

「自然エネルギー活用住宅」はとてもシンプルな仕組みで、家を断熱材で外からすっぽり覆い、その間の通気層を通って空気が下から上へ移動、小屋裏から外へ抜けるというものです。このことが意味しているのは、夏場は涼しい床下からの空気が壁や小屋裏の中を流れているということです。壁や小屋裏の中は、強い日差しを外から受けるので、温度が上昇しやすく、そのことで室内壁の温度も高くなる恐れがあります。

ここで少々回りくどい説明になりますが、みなさんは、ふく射熱という言葉を耳にされたことがおありだと思います。たとえばサウナのように壁や天井の温度が体温よりも高いと、熱さを感じます。このようにカラダが壁などに直接触れなくても感じる熱を、ふく射熱といいます。電気ヒーターなども、ふく射熱による暖房です。逆に、洞窟のように周りの岩が体温よりも低いと冷たさを感じます。これもふく射熱の1つで、冷ふく射といいます。「自然エネルギー活用住宅」では、断熱で熱を伝わりにくくし、通気で熱を逃がしやすくすることで、壁などの温度が高くなりにくい構造となり、ふく射熱によってじんわりと冷房効果が得られるということなのです。

もちろんそれは、「それほど暑くはない」という程度の控えめなもので、「キンキンに冷やした部屋で眠るのが好き」とおっしゃる方にとっては、物足りないことでしょう。しかし実際に、エアコンをほとんど使わずに暮らしている方は大勢いらっしゃいます。

夏モードがあるのはいいけど、冬はちゃんと暖かいの?
冬モードでは、ちゃんとした断熱気密住宅になります。

夏と冬モードを切り替えられるのが特長です。家を断熱材で外からすっぽり覆う外張り断熱で造っているので、床下の通気口も閉めて、外との通気も止めた冬モードでは、ちゃんとした断熱気密住宅になります。しかも外気温よりも冬には温かい地熱により安定した温度があるので、短時間で室内の温度が極端に下がる心配が少ない構造となっています。実際、東日本大震災の折には、電気が来ない状態の中でも凍えることなく過ごせたというお声もいただいています。

夏も冬も自然に、快適に

「徒然草」の中で兼好法師が述べたように、日本の住宅は“夏を旨とすべし”と言われてきました。熱がこもったり空気が淀んだりしないよう、風通しをよくし、高温多湿な環境に順応するための知恵を先人たちは絞ってきたのです。

ところが、石油ショックなどによって省エネが叫ばれ始めると、家づくりは“冬を旨とすべし”にあっと言う間に転換していきました。断熱材は当たり前に使われるようになり、中には正しく施工されなかった断熱材が構造材の腐れや結露などを引き起こし、社会問題にもなりました。

私たち「自然エネルギー活用住宅」に関わる者たちは、冬を考えるのも大切ですが、それと同じだけの熱心さで夏のことを考えるべきだと思います。「夏はエアコンでもいいじゃない」という考え方は、夏の節電や原発に替わるエネルギーを世界中が模索し始めた今、到底通用しないのですから。

「自然エネルギー活用住宅」のルーツは日本の伝統建築

風を呼び込む高い床下、直射日光を遮る深い軒、地熱を上手に利用した通り土間・・・。日本の伝統建築の中には、私たちが学ぶべきものが数多くあります。「自然エネルギー活用住宅」にも、それらの知恵が生かされています。

もともと、私たち日本人は自然を母のように慕い、家づくりもできるだけ自然を身近に感じられるようにしたいとする傾向があります。“自然と上手に付き合う住宅”。それが、私たちがめざす家づくりの定義。暑さ・寒さに背中を向け、機械に頼って快適性を手に入れるのではなく、暑さの中の一陣の涼風、寒さの中の陽だまりのぬくもりを愛で、暮らしの中の楽しみとできる家をつくりたい―。そんな私たちに賛同してくださる仲間が増え、「自然エネルギー活用住宅」の普及にご理解をいただければ、これほど幸せなことはありません。

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