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住まいの情報 今なぜ“健康住宅”なのか

住まいと病気

2.住まいと病気

低温と脳卒中

冬季に集中して発病する脳卒中は東北地方では多いが意外なことに北海道での発病率は低いのです。それは住まいの違いに要因があると思われます。つまり北海道では高気密・高断熱化が徹底しており、冬季には室内広く暖房されているからだと思われます。
冷えた床に足部が直接接するとヒヤッとした感じが身体全体に走り、高齢者ほど、このコールドショックで血圧が急激に上昇し脳卒中の危険性が増します。これに対しては室内間の温度差の解消と床面付近の温度の低下を防がなければなりません。建築的対応としては気密化で隙間をなくすこと、床面に冷気を滞留させるコールドドラフトを抑えるための開口部の断熱強化(複層化)が必要です。

 

高温と高齢者

気温が33℃に上昇するとこれを境に高齢者(65歳以上、とくに男性)は高い死亡率を示します。その原因は高温による免疫力の低下、発汗と水分の補給不足からくる脱水症状、血液循環の減少に耐えられないことなどです。

 

湿度とアレルギー

住まいの中でアレルギー疾患を引き起こすアレルゲンといえばカビとダニです。カビは真菌といわれ、人体に真菌症をもたらすカビは50種類ほどあります。最近注目されているのが、夏型過敏性肺炎といわれる病気です。これは夏だけに発生するアレルギー性肺炎で、カビが発生している家屋内に長くいる女性に多く発症します。こうしたカビの被害に対して、抗菌製品が開発されています。しかしこれも何の菌に対して抗菌作用があるのか、その特徴は何かを把握し適材適所で使うことが大切です。
さて湿度が健康に及ぼす影響をみてみると、相対湿度30%以下になるとアトピー性皮膚炎の悪化、鼻や喉の粘膜が乾燥して風邪を引きやすくなることが知られています。また、インフルエンザウイルスの生存率も高くなり、静電気が起きやすくなります。逆に暖房室での相対湿度が60%を越えると押入や家具の裏にカビが生えやすくなります。バクテリアやカビ、ダニと相対湿度との関連を調べてみると高くても低くても問題があり、室内の相対湿度としては50~55%がもっとも望ましいといえます。

 

日照不足と冬季鬱病

冬季鬱病という現代病があります。毎年、冬になると気分が激しく落ち込み、自責の念にかられ、無気力になったり、外出ができなくなったりする症状がみられます。この病気の原因として、冬場の日照不足が指摘されています。名古屋大学医学部の太田先生は、冬季鬱病の対策と快復方法として次のようなことをあげています。

(1)一日一回2時間の間に3~7回の光治療(2500ルクスの光を出すライトボックスの前に座って光を浴びる)

(2)なるべく戸外に出るようにする

(3)部屋の電灯を増やし、壁を白く塗って光の量を増やすまた建築的な対応として、日照の得られる位置に大きめの開口部を設けることが効果的と思われます。

 

寒地対応の健康住宅

寒地では室内外に30℃以上の温度差が生じます。それで隙間のない高気密住宅が発展しました。断熱化を十分行い、気密性を高めているので外の風が強いときも隙間から冷気が侵入することなく、わずかに暖房するだけで全館が20℃ほどの温度になってしまうのが高気密・高断熱住宅です。室内に寒暖差がないので高齢者にとって安心して住める健康住宅といえます。開口部は断熱性の優れた高性能複層ガラスにした上で、さらに出来るだけ小さくするのが基本です。一重ガラスは壁から逃げる熱の20倍もの熱が逃げるので使えません。しかし今後は自然エネルギーの有効利用という観点から、南面に大きな開口部を設け、日中の太陽熱と光を採り入れ、夜間にはそれを逃さないような開口部の工夫が望まれます。

 

暖地対応の健康住宅

暖地では冬季はもとより、春も秋も太陽の光や新鮮な外気を部屋中に採り入れたいものです。また初夏には風を採り入れることで冷房期間を短くした高遮熱・高気密住宅を計画しなければなりません。その際に問題になるのは開口部です。遮熱性能の優れた複層ガラスとやはり遮熟効果のあるサッシを組み合わせ、風通しを配慮し、出来るだけ明るい空間が得られる位置に大きな開口部を設けることが望ましいのです。しかし空気の汚れた都市部の住宅密集地では防音性能を高めた高気密型で空調の完備した住宅が最適の選択ということになります。
東京より西の地域の高気密・高断熱住宅では、夏季に冷房が効かなかったり、暑くて眠れないということが起こります。その原因は次のようなことが考えられます。

(1)窓ガラスから入る日射熱量を正しく負荷として計算しなかったためにクーラーの選択を誤っている

(2)寒地用複層ガラスを使用しており、日射の侵入を防ぐ遮熱ガラスが使われていない

(3)遮熱ガラスを選択した場合でも相当な日射量がある場合には、さらに効果的な日射侵入防止(ルーバー等)の処置が必要となります。このようなことから今後の高性能住宅の要は開口部であることがわかります。季節の楽しさも味わいながら厳寒、酷暑の時は弱者を保護できるように、開放もできるが閉じたときは高気密・高断熱になるような窓ガラスの採用が必要となります。断熱性、遮熱性、遮音性、気密性に優れた開口部は、結露やダニ、カビを抑え、省エネルギーにも貢献する健康住宅づくりの切り札だといえます。