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住まいの情報 今なぜ“健康住宅”なのか

化学物質による室内空気汚染

4.化学物質による室内空気汚染

室内空気汚染とは

室内環境とは、住宅の内部環境のことで、さらに二酸化窒素といった大気汚染物質の濃度が外気より室内の方が高い場合を室内空気汚染と呼んでいます。空気汚染の原因としては、カビ、ダニ、ホルムアルデヒド、揮発性有機化合物があげられています。

(1)ホルムアルデヒド…壁紙、パーティクルボード、中質繊維板、合板類、フローリング、家具、繊維製品

(2)トルエン…塗料

(3)キシレン…塗料

(4)木材保存剤

(5)可塑剤…カーテン、ワックス

(6)シロアリ駆除剤

 

化学物質による健康障害

慢性疾患としては、慢性疲労症候群、シックビル症候群、シックハウス症候群、ペルシャ湾岸兵士症候群、化学物質過敏症、本能性環境非寛容症があります。代表的なシックビル症候群の症状は、目・喉・鼻の刺激症状、粘膜の乾燥、皮膚の紅斑、じんま疹、湿疹、疲労感、頭痛、気道感染の頻発、風邪にかかりやすくなる、息がつまる、ぜいぜいする、めまい、吐き気、嘔吐、過敏症であり、その原因として換気不足が約3割を占めています。

◆化学物質過敏症

化学物質過敏症は、大量または微量の化学物質に、長期間浴びた後に微量の化学物質によって起こる異常過敏反応です。その症状としては、倦怠感、下痢、便秘、不安感、筋肉痛、頭痛であり、シックビル症候群の症状とよく似ています。

◆発ガン性

国際癌研究機関による発ガン性評価では、ホルムアルデヒドは可能性のある物質であり、トルエンとキシレンについては十分な証拠が得られていない物質であるとされています。アメリカの環境保護庁では、一日約18時間、5年間にわたって0.10ppm濃度のホルムアルデヒドを吸い続けた場合、一万人に一人の割合で発ガンする可能性があると報告しています。

 

建材の単体規格

日本には建材の単体規格があって、空気中濃度換算値で以下のようになっています。

壁紙 0.05ppm相当
パーティクルボード・中質繊維板 E0クラスで0.4ppm相当
E1クラスで1.2ppm相当
E2クラスで4.0ppm相当
合板・フローリング F1クラスで0.4ppm相当
F2クラスで4.0ppm相当
F3クラスで8.0ppm相当
食器棚 5.0ppm
繊維製品 75.0ppm
(生後24ケ月以内の乳幼児には、まったく含まない製品を使うこと。)

 

シックハウスの事例
東京・RC造マンション

入居3ケ月後に壁面のビニールクロス上にシミが発生。9ケ月後には衣類や靴にカビが発生。1年6ケ月後に体調を崩す。目がちかちかする症状が収まらず、外耳道周辺に湿疹ができかゆみが増す。原因はカビとビニルクロスに含まれる発泡剤と壁紙の接着剤が、熱・光・水分と複合反応を起こしたこと。

東京・一戸建木造住宅

新築したが強い臭気と目に対する刺激。3ケ月間にわたり1日5時間、窓や扉を開放。その結果、濃度が低減した。原因はフローリングと壁紙の接着剤であった。

福岡・一戸建木造住宅

増築7ケ月後に夏を迎えた。居住者が2階の部屋にいると、気分が悪くなり倒れた。小屋裏天井に貼った合板から発生したホルムアルデヒドの流入が原因。合板を石膏ボードに換えて臭気がなくなった。

福岡・一戸建木造住宅

子供部屋のビニールクロスの改装後、子供にアレルギー症状が発生。食事療法や温泉療法を試みたが改善されず、室内汚染を測定。発生源はビニールクロスと壁紙の接着剤。空気清浄機で改善した。

 

施工者側の注意点

換気が少ない密閉された空間では、ホルムアルデヒドが高濃度になります。ベークアウト(温度をあげて 材料が含んでいる化学物質を揮発させること)はホルムアルデヒドには効果が見られ難いこともあります。 揮発性有機化合物には効果がありました。総合的な対策としては、ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物を含む建材をできるだけ使わないこと。そして換気を徹底することの2点です。

  • 低ホルマリンの建材を使用すること
  • ホルマリンを含んでいない材料を使用すること
  • 壁紙の接着剤は天然系の澱粉糊、メチルセルロースが望ましい
  • 澱粉糊でカビが懸念される場合は室内の相対湿度を80%以上にしない
  • 壁紙の接着剤や下地材に注意すること
  • トルエン、キシレンを含まない天然系塗料でも、ミネラルスピリットを含有する製品は施工時に十分な換気が必要
  • 床下の木材保存剤、シロアリ駆除剤はACC、ACQ、NCU、NZNなど不揮発性の安全なものを使用する
  • 土台部には腐朽やシロアリに強い木材、ひば類、ひのき類、こうやまきを使用し、ソイルカバー、土間床、土台・基礎パッキンにより、床下換気を促進し含水率20%を越えないように管理する

なお、普通に生活していた場合、新築住宅が0.08ppmのレベルになるには約8年ほどかかります。しかし通常は3年ぐらいで気にならない程度に低減します。ただし、高気密・高断熱住宅はそれよりも抜けにくくなる事もあります。

 

居住者側の注意点

(1)システムキッチンや家具の内部(パーティクルボード、中質繊維板)で発生するホルムアルデヒドは、食器や衣類に移染しやすい。衣類はアレルギーの原因となる。ウールは移染されやすく、洗っても半分は残留する。市販の家具は問題が多い。リサイクルショップで中古品を求めるか、ムク材使用のもの、ホーロー製品が望ましい。なかには天板に中質繊維板を使っていることもあるので注意が必要。

(2)書籍やたばこにもホルムアルデヒドは含有されている。たばこの場合は、主流煙よりも副流煙の方に多く発生する。

(3)活性炭フィルター付き空気清浄機により空気汚染を改善することが可能。家具類に天然系塗料を塗って、揮発しないように封じ込めるマスキングにも効果が見られる。

(4)体内に蓄積されていく芳香剤はドイツで使用禁止とされている。替わりにアロマテラピーが推奨されている。お香、ポプリ、エッセンシャルオイルなどである。

(5)植物は光合成を盛んに行うとき、揮発性有機化合物をよく吸収する。揮発性有機化合物をよく吸収するのは、ゴムの木、イングリッシュアイビー、デイフェンバギア、ベンジャミン、カポックなど。ホルムアルデヒドに対してはアマリリス、ポトス、フィロデンドロンが効果的である。

 

環境問題

私たちの身の回りでは、地球規模での環境問題が検討され、一部その対策が実施に移されています。私たちの住まいは、国や自治体という社会的環境、地域という風土環境、都市という経済・文化環境に取り込まれており、健康と安全のためには、それらのうち、どの要素に問題が生じても調和が保てません。

今後の課題として、地球環境保全の立場から低公害建材の生産やリサイクルを考慮したエコロジー建材の研究開発が緊急の課題となっています。