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住まいの情報 今なぜ“健康住宅”なのか

健康住宅ガイドラインを活かすには

5.健康住宅ガイドラインを活かすには

空気汚染を生じさせないための設計・施工
◆遮熱による対策

室内の空気汚染を生じさせないためには、まず夏季の日射熱を受けて建材の表面温度を上昇させない工夫が大切です。たとえば、窓の配置では西日を避けること。南面の窓には夏季の日射角度に応じた十分な長さの庇を確保すること。南側および西側に植栽を配置するなどの方法が有効です。

◆間取りによる対策

間取りを検討することにより、放散の可能性のある建材の使用量を低減できる可能性もあります。たとえば、構造上の耐力に支障のない範囲でリビングと吹き抜けや和室を組み合わせるなど、空間に高さやゆとりをもたせることで、床面積当たりの建材の使用量を減らすことができ、結果として室内濃度を低減することが可能です。

◆家具等の取り扱い

造りつけの家具、戸棚、システムキッチンの扉は工事期間中、入居するまでの問、開け放しておく配慮が有効です。

◆換気計画による対策

次に住宅の構造、工法の違いや気密性を勘案し、換気口や機械換気によって換気の目安をつけることが大切です。とくに住宅の自然換気回数を機械換気の目安とすれば、より効率的な換気計画が行えます。

◆接着剤の使用について

使用する接着剤が含有する成分量の確認は、メーカーから化学物質等の安全データシート(MSDS)を入手するか、必要に応じて成分表や危険物表示データを入手することで可能です。溶剤系接着剤を使用する場合は、オープンタイム(塗布から張り付け、乾燥までの所要時間)が不足すると溶剤が残存して施工後も溶剤臭が残ります。必ず所要のオープンタイムを獲るようにします。ちなみに日本接着剤工業会の報告では、換気を十分に行うことを前提として、施工から入居まで14日間以上の期間を置くことがひとつの目安であるとしています。

◆土台のエ夫

基礎は、鉄筋コンクリート造のベタ基礎とし、土台の下にはパッキンを挟むなど、木材保存剤や防蟻剤の使用をできるだけ避けるためのさまざまな設計上の工夫が考えられます。ヒバ、ヒノキ、コウヤマキ、ケヤキなどの腐朽菌やシロアリに強い樹種を使うことも有効な場合があります。また、施工後しばらくの間は、給気口や開口部から床下の空気が直接室内に流入しないようにします。

◆畳材の選定

畳床の材料には自然素材のほかにインシュレーションボードやポリスチレンボードなどが使われるようになっており、畳の選定に当たっては居住者とよく相談する必要があります。たとえば、防虫処理を施していない畳を選ぶ場合、ダニ被害の可能性や定期的な虫干しの必要については、口頭での説明に併せ、文書で注意を促すことが大切です。

 

空気汚染を生じた場合の対策
◆べ-クアウトを試みる

ベークアウトとは、一定時間、室内温度を高めて、建材等の含有する化学物質の放散を促し、その後に換気を行うことを繰り返す手法です。ベークアウトは、施工時や引き渡し前に行う汚染物質の除去方法として有効な場合があります。ただし、残存性の高いホルムアルデヒドにはほとんど効果のない場合も見受けられます。トルエン、キシレン、ベンゼン、アセトアルデヒド、スチレンなどのTVOCには有効であることが確認されています。

◆ホルムアルデヒドの除去

ホルムアルデヒドには除去用の空気清浄機やゼオライト、活性炭、触媒を利用した吸着分解剤が開発されています。これらは室内のホルムアルデヒドの除去に有効である場合があります。

 

換気計画
◆換気機器の選定

換気設備の検討に当たっては、次の4点に留意して機器の選定をします。

(1)消費電力、排気風量などの基本性能を確認する

(2)常時運転を前提とした年間の電気使用料金を検討する

(3)換気と冷暖房がシステム化された機種を選ぶ場合は、地域の気象条件や居住者の温熱環境に対する要望を把捉する

(4)熱交換型の換気設備では、臭気の戻りがないことを確認する。強制排気自然給気型(第3種換気)の換気設備を選択する場合には、さらに以下の点に注意して設計すること。

A外壁のある部屋には壁に給気口を設けたり、換気用小窓のある窓を設置する

B居住者が室内のドアを閉じても空間の通気経路を確保できるようにドアにアンダーカットやガラリを設ける。室内の圧力が低下したときに、換気扇の排気口から空気が逆流しないように逆流防止機能のついた換気扇を選択する

 

入居者から相談されたら

入居者から健康への影響について相談を受けた時、設計者や施工者は、「簡易測定の利用によるホルムアルデヒド濃度に配慮した換気間隔のアドバイス」を参照して、三時間に約一回の換気を勧めてください。それでも改善されない場合は、発生源を確認します。発生源の候補となる日用品、家具、カーテン、カーペットなどを一つずつ取り除いて、入居者の症状を確認します。原因が特定できたら、それを除去するようにアドバイスします。
空気清浄機は手軽な対策として有効な場合があります。これらの手法で対策を講じても症状が改善されない場合は、専門医に相談することを勧めてください。とくに目に症状が出ているときは早めに眼科医に相談することが必要です。

 

材料・塗料の選び方

換気量の増加に伴いホルムアルデヒドの濃度は低下します。そのとき強制換気の方がより低減します。またホルムアルデヒドの放散速度は製品によって異なり、必要な換気回数も変わってきます。
食器棚やシステムキッチンに付属する吊り棚の扉を開けると、ホルムアルデヒド濃度が高くなることがあります。この場合は使用している材料を変更するか、塗料を塗布することで揮発を抑えるか、扉を開ける都度、換気を行うか、いずれかの対策が必要になります。